おしえて!ドクター・ルース(2D・字幕版)

90歳の現役セックス・セラピストの半生を描いたドキュメンタリー『おしえて!ドクター・ルース』が、2019年8月30日(金)全国公開!1980年代、タブーとされていた性の話題を明るく、学術的に語り社会の価値観を大きく変えた。『おしえて!ドクター・ルース』の映画レビュー!映画の感想。2019年8月30日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開!
おしえて!ドクター・ルース

2019年/アメリカ/100分
監督:ライアン・ホワイト『愛しのフリーダ』
出演:ルース・K・ウエストハイマー
配給:ロングライド

【映画紹介・予告編】おしえて!ドクター・ルース

鑑賞日:2019年8月8日(木)
TEXT:キッズイベント 高木秀明

90歳の現役セックス・セラピストが
誰も教えてくれない “性” の悩みを解決!

試写を観た帰り道、電車の中吊り広告が雑誌『anan』のSEX特集だった。『anan』はきれいな表現なのでまだいいが、電車内での「SEXって何?」という子どもの質問が怖いことには変わりない。週刊誌などの過激な性的表現もぜひ謹んでほしいと思う。「SEXって何?」には真面目に答えることはできても、そっちの方は無理だ。しかし、古今東西、老若男女、いつの時代も多くの方の興味の対象であり、悩みごとでもあることは間違いない。

試写で観た映画は、齢90の現役セックス・セラピストの半生を描いたドキュメンタリー『おしえて!ドクター・ルース』。彼女は1980年代、タブーとされていた性の話題を全国ネットのテレビやラジオで明るく、かつ学術的に語り、社会の価値観を大きく変えた。いまなお講演やメディア出演に全米を飛びまわり、多くの人を救い、勇気を与えている。日本ならさしづめ瀬戸内寂聴さんだろうか。

【映画紹介】『おしえて!ドクター・ルース』2019年8月30日(金)新宿ピカデリーほか全国公開!

 




お茶の間の人気者が
蔓延する差別や偏見に立ち向かう!

1980年代のニューヨーク、日曜深夜。ニューヨーカーの密かな楽しみはWYNY局から流れるトーク番組「セクシュアリー・スピーキング」だった。番組のホストは、強いドイツ語訛りのセックス・セラピスト、ドクター・ルース。誰もが知りたがっているのに誰も教えてくれない、セックスの悩みを楽しく解決してくれた。

彼女の評判は全米を駆け巡り、1984年にはテレビ番組が全国ネットでスタート。身長140センチ、笑顔がチャーミングなキャラクターも手伝い、たちまちお茶の間の人気者に。

そして彼女は社会に蔓延する差別や偏見と戦いはじめる。1980年代に猛威を振るったエイズへの偏見をなくすべく立ち上がり、中絶問題で女性の権利向上を後押し、LGBTQの人々に心を寄せ、多くの人々を救ってきた。

【トークイベント レポート】NY在住ライター佐久間裕美子さん登壇『おしえて!ドクター・ルース』トークイベント
90歳の現役セックス・セラピストの半生を描いたドキュメンタリー『おしえて!ドクター・ルース』が、2019年8月30日(金)全国公開!1980年代、タブーとされていた性の話題を明るく、学術的に語り社会の価値観を大きく変えた。『おしえて!ドクター・ルース』の映画レビュー!映画の感想。

ホロコーストの孤児、スナイパー、
シングルマザー、そしてセックス・セラピスト

彼女の強さの根本、そしてマイノリティへの関心は、その生い立ちから生まれている。1928年6月4日、ドイツのフランクフルト近くの村にユダヤ系ドイツ人として生まれ、両親、祖母、親戚をホロコーストで殺害される。自身は運良くスイスに逃がれたが、1945年にドイツが敗戦、17歳だったドクター・ルースはパレスチナでスナイパーになる。

結婚してパリに渡るも離婚してシングルマザーに。働きながら心理学を学び、3番目の夫と再婚してからニューヨークへ。コロンビア大学、コーネル大学で心理学、社会学、ヒューマン・セクシュアリティを研究した後、1981年にセックス・セラピストとして開業。そして52歳のときに「セクシャリー・スピーキング」でラジオデビューしブレイクする。

女性が正しい性の知識や家族計画を知らずに予定外の妊娠をすることで、人生を犠牲にする姿に心を痛めた。そして自分自身が幼い頃に祖国を追われ、辿り着いたニューヨークで英語も話せないシングルマザーになり、1ドルの時給でメイドの仕事をしながら娘を育てる。そんな経験から弱い立場に置かれた人々に無関心ではいられなかったという。自らの痛みを力に変え、他者を救うことで社会を変えていった。

90歳の現役セックス・セラピストの半生を描いたドキュメンタリー『おしえて!ドクター・ルース』が、2019年8月30日(金)全国公開!1980年代、タブーとされていた性の話題を明るく、学術的に語り社会の価値観を大きく変えた。『おしえて!ドクター・ルース』の映画レビュー!映画の感想。

多数だからって “普通” じゃない
“普通” って何?

「ノーマルなんてない!」と、ドクター・ルース。「普通はさ」とか、「普通はなになにだから」と、子ども対してもつい言ってしまいがちだが、普通の人、普通の生活、普通のセックス、普通の人生って何だろう?「自分の常識は他人の非常識」ということもよくある。ドクター・ルースが “ノーマル” という言葉を嫌いな理由も、「曖昧だから」だ。普通ではなく、“自分自身でいいんだ” と教えてくれる。

50歳を過ぎてブレイクし、90歳を過ぎた今も現役。こうありたいと思っても、なかなか誰もが叶えられることではない。しかし、そうあるためにはどうすればいいのか、そのヒントは見えてくる。人を元気づけられる人であること、そして、必要とされ続けること。“笑顔” も大切だ。

ドクター・ルースの笑顔は、こちらの不安や悩みを吹き飛ばしてくれる。さまざまな体験をし、サバイブし、その経験から多くの人を救い、いま幸せそうな彼女だからこそ、その笑顔は “私を見てごらん、自分らしくあれば、何があっても大丈夫よ” というメッセージをくれているようだ。

人生、いろいろある。子育てに疲れることもあれば、仕事がうまくいかないことも、無力さを感じて自信をなくすことだって。そんなときには、ドクター・ルースの生き様、笑顔から、立ち直るヒントをもらえそうだ。



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