2020年1月17日(金)全国公開!
ジョジョ・ラビット
2019年/アメリカ/カラー
監督・脚本:タイカ・ワイティティ(『マイティ・ソー バトルロイヤル』)
出演:ローマン・グリフィン・デイビス、タイカ・ワイティティ、スカーレット・ヨハンソン、トーマシン・マッケンジー、サム・ロックウェル、レベル・ウィルソン 他
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation &TSG Entertainment Finance LLC
鑑賞日:2019年12月20日(金)
TEXT:キッズイベント 高木秀明
笑いあり、涙あり、ユダヤ人迫害を
10歳の少年の目を通して描いた傑作!
第二次世界大戦下のドイツで、アドルフ・ヒトラー(タイカ・ワイティティ)を敬愛してやまない心優しい10歳の少年ジョジョ(ローマン・グリフィン・デイビス)の成長を描いたヒューマン・エンターテイメント。
ヒトラーを空想上の友だちとし、“ヒトラーユーゲント” に入隊して立派な兵士になることを夢見ているジョジョだが、実は母親のロージー(スカーレット・ヨハンソン)は反ナチス運動を行ない、家の隠し部屋にユダヤ人の少女エルサ(トーマサイン・マッケンジー)を匿っていた。
ある日ジョジョはその事実に気づき驚愕する。家の中に敵がいる! しかも、ユダヤ人は悪魔のごときと刷り込まれているため、恐ろしくておろおろするばかり。
ロージー、エルサ、ヨーキーが魅力的!
ジョジョのまわりはいい人ばかり
戦時中のユダヤ人迫害を描いている映画だが、重苦しい雰囲気がないどころか、非常に明るくカラフルで、ユーモアにも溢れ、とても爽やかに感じる。それはジョジョの母親ロージーによるところが大きい。
明るくお洒落で、ジョジョをとても愛しているのがよくわかる。一方で自分の意思を持ち、レジスタンス運動にも身を投じる強さも持ち合わせている。ロージーを演じたスカーレット・ヨハンソンも、その母親像には惚れ込んだという。
匿われているユダヤ人少女のエルサもまた、強く、聡明で、ユーモアに溢れている。ジョジョを手玉にとるほどで、だからこそ、時折見せる暗い表情は心に染みる。そしてそれはジョジョも同じ。次第にエルサに惹かれ、教え込まれたユダヤ人像を疑問に思いはじめる。男の子はいつも、少し年上のお姉さんに魅せられ、成長していくのだ。
ジョジョの唯一の実在の友だちヨーキー(アーチー・イェーツ)も、この映画に温かみを与えている。お互いを思いやる2人のシーンは、どれも微笑ましい。緊張感ある世の中であるものの、ジョジョのまわりは魅力的な人ばかりだ。
子どもたちにも観やすく
ぜひ観てほしい作品
10歳のジョジョを主人公に、彼の目を通して明るく描いた傑作。戦争の悲壮感は最小限にとどめ、ユーモアのあるわかりやすいお話しにしているので、子どもたちもきっと観やすいはずだし、子どもたちにこそ、ぜひ観てもらいたい。小学6年生くらいになると第二次世界大戦についても勉強する。映画からは、洗脳、差別や偏見の恐ろしさや不条理さ、そして体感を伴わない情報で自らの思想を持つことの危険性も感じることだろう。
大人も、子どもたちが幸せになるにはどのように育てればいいか、そのヒントを得られるかもしれない。かつては日本も同じような道を歩んだことがある。チャップリンやスタンリー・キューブリックもやったように、ヒトラーやナチスへの風刺も込められている。ヒトラー役は脚本も書いたタイカ・ワイティティ監督自身が演じている。どのようなヒトラーをつくりあげているか、これも見どころのひとつだ。
劇中で使われている音楽がビートルズ、デヴィッド・ボウイ、トム・ウェイツらで、これもまた映画を必要以上に暗くしないことに一役買っている。ポール・マッカートニーも映画の趣旨を理解し、ヒトラー礼賛の場面でビートルズの「抱きしめたい」のドイツ語盤を使用する許可を与えている。
映画のエンディングの後、彼らがどのように生きていくかを想像するのも楽しいと思う。
【映画紹介・予告動画】『ジョジョ・ラビット』2020年1月17日(金)全国公開!
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