2020年1月24日(金)全国ロードショー!
キャッツ
2020年/アメリカ/カラー
監督:トム・フーパー(『英国王のスピーチ』『レ・ミゼラブル』『リリーのすべて』)
キャスト:ジェームズ・コーデン、ジュディ・デンチ、ジェイソン・デルーロ、イドリス・エルバ、ジェニファー・ハドソン、イアン・マッケラン、テイラー・スウィフト、レベル・ウィルソン、フランチェスカ・ヘイワード ほか
配給:東宝東和
© 2019 Universal Pictures. All Rights Reserved.
鑑賞日:2020年1月8日(水)・15日(水)
TEXT:キッズイベント 高木秀明
何度も観たくなる!
オリジナル版も吹替版も素晴らしい!
映画化発表以来、公開をずっと楽しみにしていたのが映画『キャッツ』。いよいよ1月24日(金)に全国ロードショーだ。名曲「メモリー」を熱唱するジェニファー・ハドソンなど豪華出演者自らの声と歌が聴けるオリジナル版はもちろんだが、日本を含め世界でたった2ヵ国のみ許可された吹替版も、キャストの面々を知ると楽しみでならない。自国の言葉でも楽しめるというのは、なんとも贅沢だと思う。楽しさも2倍、いやそれ以上だ。
実際、吹替版も素晴らしかった。吹替版を観ると、もう一度オリジナル版を観たくなるし、オリジナル版を観たら、また吹替版も観たくなる。そして観るたびに新たな発見もあり、その無限ループに陥りそうだ。
歌って踊ってアピール
天上へ行けるのはたった一匹!
未見なので聞いた話になるが、舞台の『キャッツ』は「わかりづらい」という意見もあるようだ。確かに映画でもたくさんのネコが出てきて、誰が誰だか、というのはあるかもしれない。しかしストーリーはとてもシンプル、 “ジェリクルキャッツ” というグループの中から「天上へと昇る」一匹を選ぶ一夜の物語だ。
選ぶのは長老猫のオールドデュトロノミー(ジュディ・デンチ/吹替:大竹しのぶ)で、選ばれたいネコたちは歌ったり踊ったりして、自分がいかに天上へ行くのにふさわしいかをアピールする。
映画では若い白猫ヴィクトリア(フランチェスカ・ヘイワード/吹替:葵わかな)を主人公に、彼女の目を通してその様子が描かれていたり、いくつか舞台とは異なっているものの大まかなストーリーは同じ。ぐうたらなネコ、ワイルドなネコ、お金持ちでグルメなネコ、マジックが得意な気弱なネコ、働き者の鉄道ネコなど、個性豊かなネコたちが歌って踊って自己紹介をする。『コーラスライン』を彷彿とさせる。
劇的な展開はなく、そのあたりを少し退屈に感じる向きもあるかもしれないが、ネコになりきったその動きと踊り、そして歌が素晴らしく、ミュージカル好きは退屈しているヒマなんてない。メインを張っているときはもちろん、踊っていないときのちょっとした仕草、脇にいるときの演技、たたずまいもすべてが美しい。トップアーティストたちがどのようにして自らのネコをつくりあげていったかは、ぜひこの下の動画を見ていただきたい。そのすごさがわかるはずだ。
余白があるから、想像できる
子どもたちに夢を持ってもらえる映画
ストーリーはシンプルだが、使われている言葉は少々難解なときがある。原作者のT.S.エリオットは独特な言葉や表現を使う詩人で、その世界観を大切にしているためだ。
妖艶なボンバルリーナというネコを演じているテイラー・スウィフトは、この映画のためにヴィクトリアが心情を歌う「Beautiful Ghosts(ビューティフル ゴースト)」という新曲をつくったが、T.S.エリオットの独特な言葉や表現を反映するため、すべての作品を読んだという。
言葉だけではなく、「ネコには名前が3つある」とか「天上へ昇る」とどうなるかなど、すべてを説明していないところも多い。子どもたちには難しく感じる部分もあると思う。
しかし説明していないからこそ、その意味を想像する楽しさがある。「ネコ」ではなく「ヒトには名前が3つある」としたらどうだろう? いる場所によって呼ばれる名前は違ったりしないだろうか? そしてそれの意味するところは?
また「天上へ昇る」については、ネコたちの会話、そして名曲「メモリー」にヒントがある。一緒に考え、いろいろな意見や感想を話しあってもらえたらと思う。もちろん、単純に「ダンスすげー」「歌すげー」「映画、ミュージカルってすげー」もありだ。
吹替版の音楽プロデュースを担当した蔦谷好位置さんも、小学校のときに劇団四季の『キャッツ』を観て衝撃を受け、その体験が「間違いなく今の自分の音楽人生に生きている」という。「『キャッツ』を観て、映画監督や音楽家、舞台で歌いたい、ダンサーになりたい、いろいろな夢を持ってもらえる」とも語っている。
実力ある豪華キャストが集結
吹替版もおすすめ!
冒頭でも少し書いたが、吹替版も本当に素晴らしかった。葵わかなさんは新しい世界に戸惑いつつも、少しずつ居場所を見つけるヴィクトリアを繊細に表現し、透き通る高音で静かに、しかし力強く歌う「Beautiful Ghosts」もとてもよかった。
ネコのリーダーで、ヴィクトリアを不思議な世界に誘うマンカストラップを演じた山崎育三郎さんはさすがの安定感。そして名曲「メモリー」で魂の歌声を響かせるグリザベラ役に大抜擢された高橋あず美さんは、憧れのジェニファー・ハドソンの吹替とあり、まさに一心同体、並々ならぬ想いも伝わってくる。
【レポート】高橋あず美さんが日本語吹替え版制作発表会で不朽の名曲「メモリー」を熱唱!
個人的には、ラム・タム・タガー(ジェイソン・デルーロ)とスキンブルシャンクス(スティーブン・マックレー)がお気に入り。ラム・タム・タガーは甘い歌声で雌猫を虜にする自由奔放なワイルドネコ。ノリノリな楽曲で、Official髭男dismの藤原聡さんの吹替がとてもよくあっていた。
マンカストラップは働き者の鉄道ネコでタップダンスを披露してくれる。『雨に唄えば』(1952年)、『ホワイトナイツ』(1985年)でタップダンスに魅了されたため、タップを観ると心が踊る。吹替は大貫勇輔さん。こちらも明るい楽曲で、踊りながら楽しく収録した様子が目に浮かぶ。
また、イタズラ好きで盗みのプロ、悪名高きコソ泥カップルのマンゴジェリー&ランペルティーザ(ダニー・コリンズ/ニーヴ・モーガン)には、宮野真守さんと沢城みゆきさん。キュートな楽曲で、巻き込まれながら一緒に悪さをするヴィクトリアも、この2匹と一緒のときが一番楽しそうだ。
さらに、神出鬼没で恐ろしい力を持つお尋ね者のマキャヴィティ(イドリス・エルバ)には山寺宏一さん。マキャヴィティは、現れると一瞬で緊張感をもたらす存在。どんな声色か楽しみにしてほしい。
そして、かつては劇場の大スターで過去の栄光を懐かしむ老猫ガスには宝田明さん。ガス役の吹替はあまりの難しさに何人かに断られた後、宝田明さんに決定したそう。その名演技を堪能できる。
「天上へと昇る」一匹を選ぶのは、猫たちの偉大な長老オールドデュトロノミー。吹替は、ジュディ・デンチを尊敬する大竹しのぶさん。2019年11月18日(月)に行なわれた日本語吹替え版制作発表会で「同じような貫禄をどう出すかですね」と語っていたが、それはぜひその目で劇場で確かめていただきたい。
オリジナル版と吹替版を観比べることはもちろん、音楽、ダンス、言葉、そして “推し” ネコを見つけて集中して観るなど、何度も楽しめる。観るたびに新しい発見があり、きっとあなたの “推し” ネコも、追いかけていなければ見落としてしまうようなシーンでも、しっかりとあなたを魅了してくれるはずだ。
【映画紹介・予告動画】『キャッツ』2020年1月24日(金)全国ロードショー!
【レポート】葵わかなさん、山崎育三郎さん、大竹しのぶさんらが登場! 映画『キャッツ』日本語吹替え版制作発表会! 不朽の名曲「メモリー」生歌唱も!
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