カナ社長が社員を想う気持ちは
“娘を守る” お母さんの強い想いを反映
ー 子どもの頃の「ウルトラマン」に関する思い出はありますか?
2つ上の兄がウルトラマンや戦隊モノが好きだったので、一緒にテレビを観ていました。家の中にはウルトラマンのおもちゃもありましたし、ウルトラマンごっこでも遊んでいました。いつも兄がウルトラマンで、私が怪獣役なんですけどね。
ー やはり下のコは怪獣にされてしまうんですね。新山さんが演じる、E.G.I.S.(イージス)※ 社長の佐々木カナ※は元気で明るく、お金にシビアな一面もありますが、あっけらかんとしているところもあり、そして宇宙人からも信用されるほどの人格者です。新山さんと似ているところは?
似ている部分は、私は私生活ではお母さんなので、“娘を守る” という強い想いは、カナ社長が社員のピリカやホマレ、ヒロユキのみんなを引っ張り、守っていく姿勢とリンクするところがあります。カナ社長は強さと優しさを兼ね備えた愛情深い方なので、社員に対しての想いは、私が娘に抱く想いを反映させながら演じたところもたくさんあります。
※ E.G.I.S.(イージス):警備および調査を専門とする民間警備組織。宇宙人絡みの事件で依頼を受けることが多い。佐々木カナを社長に、ウルトラマンタイガに変身する工藤ヒロユキ、宗谷ホマレ、旭川ピリカが働いている。
ー 佐々木カナという女性から学び、ご自身に取り入れているところはありますか?
ピンチになってもネガティブに捉えずに立ち向かっていく勇気や、女性としての真の強さ、負けん気の強さには刺激を受けました。また、“守り抜く” という心の内側から出てくるパワーがとても強い人なので、私自身にも取り入れていきたいと思っています。カナ社長はたくさん刺激を受けた、深い想い入れのあるとても好きな役です。
【映画紹介・予告動画】2020年3月6日(金)全国公開! 劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス
カナ社長をムードメーカーに
出てくると楽しい気持ちになってほしい
ー カナ社長は新山さんと似ているなと感じるのですが、演じるのは大変でしたか? 素のままでいけましたか?
素でいけたところもありましたが、観てくれる子どもたちが、E.G.I.S.のシーンは心がほぐれるというか、楽しい気持ちになってくれるといいなと思って演じました。
カナ社長が出てきたら笑ってほしいんです。「またヒロユキがカナ社長に怒られてる!」とか「またお金って言ってる!」とか、子どもたちにとって笑いにつながる、温かいE.G.I.S.を描きたいと思ったので、最初にいただいたカナ社長の設定よりも、だいぶ明るさをプラスしました。真面目な社長なので、それはベースにしつつも、私自身がカナ社長をより楽しみたい、そして観ている方たちにも、より楽しんでいただきたいという想いが強かったですね。
ー 宇宙人と戦うアクションもありますが、練習は大変でしたか?
アクションは初挑戦だったので細かく指導していただきました。戦うときの姿勢や攻撃を受ける体制、目線に入ってくるものの位置や息遣い、そしてカメラマンの方とも呼吸をあわせる必要があり、とても勉強になりました。
また、いつもは今日のようにスーツを着ていますが、アクションシーンでE.G.I.S.のジャケットを着させていただいたのは嬉しかったですね。キャップとジャケットを着るとアクションのスイッチが入るというか。映画の中でもジャケットを着てのアクションシーンがあるので、そこも観応えがあるんじゃないかなと思います。
海外からも注目! 日本を代表する特撮作品
何もないところでのリアクションは難しいけどおもしろい
ー 新山さんはゴジラや戦隊モノなど、いくつもの特撮作品に出演されています。最初に「ウルトラマンタイガ」のお話をいただいたときにはどう思いましたか?
「絶対やりたい!」と思いました。子どもの頃から触れ合ってきたウルトラマン、日本では知らない人がいない作品で、日本を代表する特撮の象徴的作品です。世界からも注目されているので、そこに日本の女優として出演させていただけるのは、ただただ嬉しかったです。家族も喜んでくれましたし、もちろん兄も「すげえっ!」て言ってくれました。
テレビ版はオンエア後に海外の方からのフォロワーも増えるので、海外でも観てくださっているんだなと実感します。また、私がバラエティ番組などに出ていると「なんでカナ社長がここにいるの?」「カナ社長を見られて息子が喜んでます」という声をファンの方が送ってくれます。子どもたちが『ウルトラマンタイガ』を観て、私のことを覚えてくれるのも嬉しいですね。
『ウルトラマンタイガ』は仲間意識や正義感など、子どもたちに吸収してもらいたいことがたくさん詰まっている作品です。そういう作品に出演させていただけるのは本当に嬉しいですね。
ー ドラマの撮影などと異なる、特撮ならではのおもしろさ、難しさはありますか?
私たちがウルトラマンや怪獣を見たり、一緒に映っているシーンは合成なので、撮影しているときには何もないところを見て演技をしています。「目線はこのあたりになるので、ここで驚いてください」とスタッフの方に教えていただいて、何もないところでリアクションする難しさはありますが、自分の中の想像力が高まるおもしろさもありますし、完成したものを観る楽しさもあります。
E.G.I.S.のシーンでピリカがパソコンで情報を探り「出まーす」と言ってモニタに映してくれますが、実際には何もなくて、出ているかのように想像して “ハッ!” と驚いたり、目線を動かしたりするので、放送されたときに違和感があったらどうしようと思うんですが、しっくりできていると “ほっ” とします。必ず録画して全部観ています。
ー 完成したものを観る楽しみも大きいんですね。
合成シーンが多いので、このシーンはどうなったんだろうと、放送を観て改めて「あ〜こういうことになったんだぁ」とか、「合成の力ってすごいな」と実感します。
円谷さんはすべてをCGに頼らず、戦うシーンではミニチュアセットをつくったり、人の手でセットを組む伝統、日本の特撮のよさをずっと守り抜いていて、その美学はカッコイイなと思います。
ー 『劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス』で、子どもたちには何を伝えたいですか?
仲間との “絆” や “正義感”、“正しい心を貫いていくこと” “希望を持つこと” など、大人になってもずっと持ち続けなければならない人として真に大切なことが、テレビ版にも劇場版にもたくさん込められています。ぜひ親子で一緒に、そういうところにも注目して劇場版を観て、楽しんで、感動していただければなと思います。
子どもたちには「俺はタイガを観て育ったんだ」という気持ちがずっと心に残って、大きくなっても、タイガが伝えたことを大切にしてもらいたいですね。
子どもたちは “今” を一生懸命楽しんで
その経験は、きっと後で役に立つ
ー 新山さんはお子さん(13歳)ととても仲が良いですね。思春期のお子さんとの関係は難しいと思いますが、どのような工夫をされていますか?
昨日も一緒に温泉に行っていて、心がほぐれてどんなことでも話しやすい環境を積極的につくるようにしています。海も、ただ眺めているだけで気持ちが安らぐので、“ママに話を聞いてもらいたい” という雰囲気になります。
近場のカフェにもよく行きますよ。静かな空間の中で「学校どう?」なんて聞くと、娘も「部活でこういうことがあって…」とか、リラックスしていると、いろいろと話してくれます。家だとYouTubeやスマホに没頭していて、聞いても生返事だったりするので、スマホやテレビのない、話しやすい環境を設けるようにしています。
ただ「カフェ行こうよ」と行っても来ないので、「ちょっとタピってから、カフェ行かない?」とか、少しニンジンをぶら下げたりして(笑)。でも、温泉は話をするにはとてもいいと思いますよ。
ー タレント、役者になりたいお子さんは、今、どんなことをしておくといいですか?
とにかく今の学校生活を楽しんでほしいですね。仕事になると集中すべき環境が変わってくるので、私はもっと学生時代を謳歌したかったなぁと思っています。学生時代に夢があるとしたら、そこに向かってがんばっていくためにも、まずは今を一生懸命に楽しんで、満喫してほしいと思います。
そして、特別何かをしなくても、普通の生活の中での経験が後々役に立つと思います。厳しい部活で大変な思いをすることも絶対に後で活きてくるので、自分の置かれた環境の中で少し厳しい道を選び、そこで強さやくじけない気持ち、そういうことを学ぶのは、大変な仕事を乗り越えていける強さにつながると思います。
ー 親御さんはどういうサポートができますか?
愛情を持って向き合うことですね。愛情がお子さんに伝わっていれば、どんな道でもがんばっていけると思います。
うちの親はけっこう放任主義だったので、すべてに手をかけてもらったという記憶はありませんが、雨の日には傘を届けてくれたり、迎えに来てくれたり、放任主義でも私のことを大事に思っていると感じる瞬間はたくさんありました。親の愛情が1番だと思うので、私もそこを大事にしていきたいなと思っています。
ウルトラマン ニュージェネ勢揃いは大迫力!
平成最後の夏はタイガに “すべてを捧げた”
ー 劇場版の台本を読んだ感想はいかがでしたか?
とにかくたくさんのウルトラマンが出てくるので、それだけでも見応えがありますし、そのウルトラマンたちの戦闘シーンは劇場版ならではのスケールの大きさで大迫力です! ものすごいことになっています!
それにテレビ版をずっと観てくださった方は、あのシーンはここにリンクしてくるんだとか、相変わらずE.G.I.S.のメンバーは楽しく絆を深めているんだなという劇場版とのつながりも描かれているので、楽しんでいただけるシーンがたくさんあると思います。
ー 出演者の方は新山さんよりも若い人の多く、制作されている方は上で、新山さんはちょうど真ん中あたりでしょうか? 中間管理職のような板挟みだったり、上下をつなげたり、そのような苦労もありましたか?
E.G.I.S.のメンバーは若い子たちなので、ベテランスタッフの多い現場に入ってきたときに緊張していたり、少しでも戸惑いがあるときは、私が笑いをとったり、ヒロユキやホマレ、ピリちゃんに話を振ることで、より現場が楽しくなるように、ということは心がけていました。
「早くE.G.I.S.のシーンを撮りたいな」という声がまわりから聞こえてくると、「みんな楽しみにしてくれているんだな」というのを感じられてすごく嬉しくて。スタッフさんも「明日はE.G.I.S.だ。長くて大変だけど!」って笑いながら言ってくれるのが嬉しいなぁって。
ー 長いんですか?
長いですね。1日ずっと、E.G.I.S.デーです。大変でしたけど、でもそれが私もとても楽しみで、平成最後の夏はウルトラマンタイガにすべてを捧げました(笑)。
ー 新山さんはカナ社長の役柄そのものですね。
そうなれていたらいいんですけどね。でも、いつでも笑顔のある現場で、みんなで楽しくE.G.I.S.で笑いながら「このシーンはもう少しこうしよう」とか、それぞれが築きあげてきた役柄同士でぶつかり、色付けしていけたのもよかったなと思います。とてもよい空気感でした。
ー 平成最後の夏が『劇場版ウルトラマンタイガ』で終わったとおっしゃっていましたが、令和の目標は?
テレビ版に続いて『劇場版ウルトラマンタイガ』に出演させていただいて、子どもたちの心にカナ社長が生き続けてくれればなと思っています。子どもたちが大きくなってテレビで私を見ても「カナ社長だ!」と思ってもらえたら嬉しいですね。
そして、女優業はこれからも続けていきたいので、観てくださっている方々の心に残る女優さんになっていきたいと思っています。
ー 娘さんとは『劇場版ウルトラマンタイガ』を観に行きますか?
もちろんです! 娘もテレビ版を全部観ていますし、劇場版の台本も読んでいて、ものすごいタイガファンです。テレビを観たあとは「今日のカナおもしろかったよ」とかも言ってくれます(笑)。劇場版の感想も楽しみです。
『劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス』は、2020年3月6日(金)全国公開!
新山千春(にいやま ちはる)
1981年1月14日生まれ。女優、タレント。1995年、第20回ホリプロタレントスカウトキャラバン特別賞を受賞。1996年、東映映画「お日柄もよくご愁傷さま」で女優デビュー。映画『ゴジラ・モスラ・キングギドラ大怪獣総攻撃』(2001年)、『ドラえもん・のび太とロボット王国 』(2002年)、『呪怨2』(2003年)、NHK連続テレビ小説『カーネーション』(2012年)等に出演、ドラマや映画、バラエティ番組などで活動中。2006年に第1子(女児)を出産。
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