海ってすギョい! 生き物ってすギョい!
トビハゼちゃんは人間そっくり!
ー 映画『驚き!海の生きもの超伝説 劇場版ダーウィンが来た!』を拝見させていただきました。国内外約60種類の生き物が取り上げられていますが、いろいろな姿形、生態の生き物がいて、本当に海は、地球は豊かだなと感じました。さかなクンはナレーターや出演をされて、どのように感じましたか?
海好き、魚好き、「ダーウィンが来た!」好きとして、この映画に参加させていただけて、本当に嬉しく思っています。そしてやっぱり、海ってすギョいな、生き物ってすギョいな、みんな逞しくってすギョいなぁという、海や生き物への敬意でいっぱいです。
ー さかなクンの帽子はハコフグですが、映画では海底に美しい模様を描くアマミホシゾラフグが出ていました。映画の中でお気に入りの生き物はいますか?
どの生き物も素晴らしくて、愛おしくて、その中で1番を決めるのは難しいのですが、トビハゼちゃんが、普段の体色は茶色なのですが、恋の季節を迎えるとオスが全身ピンク色になり、メスの気をひくためにぴょんぴょん飛び跳ねます。その姿の一生懸命なこと。そしてメスがきてくれると嬉しさのあまりほっぺに “チュッ” とするんですが、それが最高に可愛いです♫ お魚なんですが、人と同じような愛情があり、ジ〜ンと伝わってきて心が温かくなります。
ー “チュッ” とするのは愛情表現なんですか? キッシングラミーという魚もキスをしますが、実はオス同士の闘争行動で、ロマンチックなものではありません。
お詳しい! 確かにキッシングラミーはオス同士が向かい合ってお口の大きさを比べっこしているんですが、トビハゼちゃんはオスがメスのぽっぺのあたりにチュッとしているので、愛情表現と言っていいと思います。
【映画紹介】驚き!海の生きもの超伝説 劇場版ダーウィンが来た! 2021年6月11日(金)よりユナイテッド・シネマほか全国ロードショー!
肺、エラ、皮膚、腸
呼吸法が多いのは羨ましい?
ー 海の生き物はさまざまな生態や特性がありますが、さかなクンがうらやむ海の生き物の能力、このお魚、生き物になりたいというのはありますか?
トビウオちゃんの巧なが飛び方、クジラさんの偉大さ! ペンギンちゃんたちの一致団結な姿。みんなすギョいなぁと思うのですが、ペンギンちゃんの子育てはとっても大変そうだし、トビウオちゃんも好きで飛んでいるのではなく敵から逃れるために飛んでいて、必死ですよね。あれがもし自分だったら、食べられちゃうなぁって思います。みんな魅力的で素晴らしいですが、いざ自分がその生き物になったら、ちゃんとその能力を発揮できるかなぁ…?
ー 水の中でも呼吸ができるエラ呼吸には惹かれますか? 技術開発で実現できるでしょうか?
大きな機材を背負わずにずっと潜っていられるのはいいですね。トビハゼちゃんは水の外でもあれだけ元気にしていられるのは、えら呼吸だけでなく皮膚呼吸もできるからなんです。ドジョウちゃんはさらにすギョくてえら、皮膚、そして腸でも呼吸ができちゃいます。だから呼吸法が多いというのは、とっても憧れますね。
飛行機の翼や形は、トビウオちゃんのような大きな胸びれだったり、サメちゃんが泳いでいる姿によく似ています。人がつくったものは改良に改良を重ねて今の形になっていると思いますが、何かの生き物に似ているのが不思議ですね!
哺乳類のイルカと魚類のサメはまったく違う生き物ですが、尖った頭や背びれの形、流線型の体、胸びれと、なんとなく形が似ているのは、同じように広い海を泳ぎ回っているからです。同じような暮らしぶりから全然異なる生き物の形が似てくるというのを収斂進化と呼びますが、それと同じように、人が開発するものも似てくるのかもしれません。
失敗や悔しい思いから試行錯誤
一つひとつの体験が今につながる
ー さかなクンは子どもの頃にたくさんの自然、生き物と触れあったと思います。子どもたちには幼少期の自然体験や生き物との触れ合いが大切だと言われますが、その経験は、子どもたちのどのような影響を与えると思いますか?
自分が小さいときは学校から帰ると家にランドセルを置いて、すぐに友だちみんなで草むらや野原に行って遊んでいました。カナブンちゃんをつかまえて糸をつけて飛ばしたり、ザリガニちゃんを釣ったり、トカゲちゃんやカエルちゃんをつかまえたり、自然の中で生き物と触れあう遊びは、ギョくギョく当たり前でした。地域差もあると思いますが、今は、さかなクンが小さかった頃よりも自然の中で遊べる機会は減ってしまっているのかもしれません。
トカゲちゃんの尻尾が切れると、その尻尾が動いたり血が出たり、さまざまな昆虫を見てはこんな特徴があるのかとか、自然の中では初めて見ることばかりで一つひとつが衝撃的で新鮮なんです。肌で感じる感動なので、噛まれたり、刺されたりして、すギョく脳裏に焼きつくのです。ファミコンさん世代なのでテレビゲームやカードゲームも確かにおもしろいですが、お外で遊んでいるといろいろな鳥さんのさえずりが聞こえたり、突然雨が降ってきたり、暑くて汗が流れたり、空気がおいしいなぁとか、ギョかん(五感)でいろいろなことを学べますので、そのときは気がつかなくても、後で思い出して改めてそのときの空気感や匂い、感覚が蘇ってわかることがたくさんあります。また友だちがカナブンちゃんに糸をつけて飛ばしていたら、いつの間にか半分になっちゃってびっくり! かわいそうだけど、お外に出るとさまざまな “命” の大切さにも気づけます。
さかなクンの場合は小学2年生の頃にタコが大好きになって、夏休みに毎日のように海に行って「タコちゃんいないかな〜?」「タコちゃ〜ん!」って探して、やっと見つけたときは夢中でタコちゃんに両手を伸ばしていました。すると信じられないくらい強い力で吸盤がくっついて「ひきずり込まれる〜! うわー!」って、全力でタコちゃんを岩のすき間から出しました。お家で飼おうとバケツに入れてフタをして家に持って帰ったんですが、疲れて昼寝をしちゃって、起きて「タコちゃん大丈夫かな?」ってフタを開けたら、炎天下で水がお湯のようになってしまい、真っ白になってのびちゃっていました。叔母が「あら、立派なタコ。たこ焼きね」と言いましたが、どうしても飼いたくて海に連れて行って海水につけてゆらしてみて、元気にならないか懸命に試みましたがやっぱりダメで、「はぁ〜これが命かぁ」って。
やっとタコちゃんに会えたのに、嬉しさ最高潮から一気にどん底になりました。でもそういう一つひとつの体験が今につながっています。次は元気にお迎えするために、海水が温まり過ぎないよう工夫したり、タコちゃんがお外に出ないようにすき間のない強力な蓋をしたり、いろいろと試行錯誤しました。
ー さかなクンと言えば、いつも明るく元気ですが、落ち込むことはありますか? そのときは、どのようにして元気になるのでしょうか?
特に落ち込むのは、朝起きて港に行ったらタッチの差で漁船が出港してしまっていたときや、80種くらいのお魚とギョ一緒に暮らしていますが、どうしてもときどき病気になってしまう子がいて、なかなか回復しないときは「困ったなぁ」って、すギョく心配で落ち込んでしまいます。
でもお魚が元気に回復して、ギョ飯を食べてくれると、「やったー!」って、自分も元気になります! お魚はギョ一緒に暮らしている家族のような存在なので、やっぱり嬉しいですね。
ー すべてお魚にまつわることなんですね。
そうなんです。さかなクンですので♫ 衣食住がすべてお魚です。住んでる場所も海の近くで、お魚がいっぱい泳ぐ特別な建物はフィッシュハウスと呼んでいます。食もお魚です。
子どもの言葉から驚きや発見を
一緒に観て、会話をして欲しい
ー 最近、海のマイクロプラスチックの問題をよく耳にするようになりました。地球温暖化や環境汚染、乱獲もあり2050年ごろには魚がいなくなり食べられなくなるとも言われています。海の恵みを次世代にも残すにはどのようにしたらいいと思いますか?
これは科学的に学者の先生方がお調べになられて、今の状況が続くとそうなるだろうという警告のようなギョ報告だと思います。しっかり意識して、みんなで「この状況が続いてはいけない」という気持ちになる必要があると思います。映画の中でも最後に温暖化の影響でホッキョクグマさんはじめ多くの生き物が大変な状況にあるということがギョ紹介されています。他人事ではなく自分の事としてしっかり意識するためにも、この映画はとても大きな存在です。
ー 親子で一緒に映画を観て、親は子どもにどんなことを伝える、話すといいでしょう?
親御さんがお子さまにお伝えされることも大事ですが、感受性豊かなお子さまが映画を観て感じることって、大人の発想や考えでは出てこないようなことが多いと思います。ギョ一緒に映画を観てから会話をしていただきたいです。お子さまから出て来る言葉には、大人では気付けないような驚きや発見があると思います! 意見交換ができたら素晴らしいですね!
ー 最後に、この映画の見どころを教えてください。
もう、すべて素晴らしいです!「海」と一口に言っても、ペンギンちゃんやトビハゼちゃんが暮らす陸の部分、海の中だとサンゴ礁とか、沖合、深海などなど、海にはいろいろな顔があって、環境も違うし見える光景も違うけれど、全部がつながっています。そして、一つひとつの環境、生き物が、かけがえのない大切な存在です。どの生き物も姿形、暮らしぶりは違いますが、みんな一生懸命に生きていて、だからこそかっこいいし、美しいし、愛おしい! ここが見どころっていうのは難しくて、逆にまばたきできないほどすべてが見どころ! お魚のように常に目を開いて、何も見逃さないようにしないといけない映画だギョー! って思っています。
さかなクン
東京都出身、館山市在住。国立大学法人 東京海洋大学名誉博士/客員准教授。2010年、絶滅したと思われていたクニマスの生息確認に貢献。さらに海洋に関する普及・啓発活動の功績が認められ、「海洋立国推進功労者」として内閣総理大臣賞を受賞。2011年農水省「お魚大使」、2012年文科省「日本ユネスコ国内委員会広報大使」、2014年には環境省国連生物多様性の10年委員会(UNDB-J)「地球いきもの応援団」の生物多様性リーダーを務める。2015年3月には東京海洋大学の名誉博士が授与された。お魚の情報や知識、美味しい食べ方や環境問題をはじめ、漁業従事者の方々とともに明日の漁業を考えるため、全国各地で講演を行っている。
2021年6月11日(金)よりユナイテッド・シネマほか全国ロードショー!
驚き!海の生きもの超伝説 劇場版ダーウィンが来た!
今回は今も新種や不思議な生態が続々と発見される人類最後のフロンティア「海」がテーマ。日本を含む世界各国から約60種類の生きものたちが大集結! なぜ、こんなにも多くの生きものを育めるのか? 海の不思議を謎解く冒険に出発!
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