子どもも大人も、心にグッとくる映画
あの頃を思い出す家族団欒、友情、冒険
ー 自分の少年時代を思い出してノスタルジーを感じる、心にグッとくる映画でした。それぞれが演じた役から、映画「サバカン」の魅力、「ここに注目してほしい!」というところを教えてください。
番家一路さん(子ども時代の久田孝明/久ちゃん)
お母さん役の尾野真千子さん、お父さん役の竹原ピストルさん、弟役の番家天嵩(ばんかてんた)と家族団欒を演じていて、天嵩は本当の弟でもあるので、天嵩を叩くシーンは思いっきりできて痛快でした。遠慮なし、本気の家族団欒を見てほしいです。
原田琥之佑さん(竹本健次/竹ちゃん)
僕も家族との団欒のシーンが好きです。お母さん役の貫地谷しほりさんはいなかったんですが、弟や妹、(番家)一路君と一緒に家で戯れるシーンがあって、僕は一人っ子なので弟や妹ってかわいいなと思いましたし、とても愛おしいシーンになっていると思います。
草彅剛さん(大人になった久田孝明)
僕はあんまり映画に出てないんだよね(笑)。この2人の子どもがメインなので。
でも長崎のきれいな海のシーンとか、僕は(番家)一路が演じる “久田孝明” が大人になった役なので、“久ちゃん” がどんな大人になったのかを、ぜひ観てほしいですね。
【映画紹介・予告動画】2022年8月19日(金)全国ロードショー! サバカン SABAKAN
演技未経験だからこその、みずみずしさ
チームワークでみんなの手づくりの映画
ー 久ちゃんと竹ちゃん2人の友情にグッときましたし、草彅さんの演技も素晴らしかったです。2人の演技を、草彅さんはどのようにご覧になりましたか?
草彅剛さん
2人の演技はとてもよかった。(2人に)「どうしてあんなによくできたの?」。ホントこっちが聞きたくなるくらいですよ(笑)。
でも長い期間、1ヵ月ちょっとかな。2人は金沢知樹監督と一緒に長崎にいて、だからもう地元の子になっていましたよね。スタッフの方々とも仲良くなって、監督以外の人からも演技指導をされたりして。演技をしたことのない2人だったから、それ故に出てくるみずみずしさのようなものを、監督がうまくすくいとっている感じがします。
監督にとっては演技をしたことのない人を起用するのは挑戦ですよ。大きなスクリーンに、あんなに長い時間2人を映すんだから。
(2人に)「僕はたくさん演技をしたことがあるけど、あんなに長い間撮られてたら緊張しちゃって間が持たないよ。それをあんなに自然な感じに演技しちゃってさ。教えてよ。どうやった? 監督にいろいろ言われた?」
番家一路さん
いろいろ叩き込まれました。
草彅剛さん
でもさ、叩き込まれたわりには、叩き込まれたような演技をしていないんだよね。自然なんだよ。あっ、叩き込まれたけど右から左に抜けちゃったんじゃないの?(笑)そんな感じなんだよね。
でも、チームワークがよかったんじゃないかなと思います。監督の地元が舞台で、監督の知り合いの方がロケハンしてくれたり、みんなの手づくりの映画で、その暖かさみたいなものが伝わってくるんだと思います。
最後の方に僕も長崎で合流したとき、みんなすごく仲良かったし熱気もあったから、この映画はよくなるだろうなって感じました。できあがった映画を観ましたが、監督はじめみんなが、この2人のいいところを引き出したんでしょうね。この2人も、もうあのときのような演技はできないと思います。監督が脚本を書き、初メガホンだから、かなり気合も入っていたと思います(笑)。
ー 演技で工夫したところがあれば教えてください。
原田琥之佑さん
あまり演技指導はされませんでしたが、監督から「自然にやっていいよ」と言われ、自分なりに考えて取り組みました。
番家一路さん
監督から、ヤンキーにからまれるシーンは「一路のまま怖がっていいから」と言われました。そして「怖いものはなんだ?」と聞かれて「野菜」と答えたら、みんなポカンとしてました。
草彅剛さん
野菜が怖い? 嫌いなの?
番家一路さん
大っ嫌いです。緑は嫌い。茶色は好き。
草彅剛さん
ダメだよ。緑色がいいんだよ、体に。健康のため緑も食べろよ。
番家一路さん
いや、茶色がいいです。
草彅剛さん
茶色ばっかりじゃダメだよ。赤、緑、黄色、緑黄色野菜を食べないと。
演技って経験じゃないって改めて気付かされた
まばたき2回で48歳、やりたいことをやった方がいい
ー 2人の演技から草彅さんが気がついたことはありますか?
草彅剛さん
演技って経験じゃないんだなということに改めて気付かされました。だから僕はこれからもあんまり台本を読まなくていいだなって(笑)。
ー 2人の演技を「自然体」とおっしゃっていましたが、草彅さんも「自然体」の演技に定評があります。経験がないが故の自然体と、経験があっての自然体は、演じる上で気持ちのつくり方、出し方などは少し違うかと思いますが、いかがですか?
草彅剛さん
彼らと一緒にいて、僕の方が精神年齢が低いんじゃないかなって思うくらい子どもなので、そういった意味では、俳優という仕事は僕にあっていたのかもしれないですね。あえて役をつくらないというか、「考え込んでもしょうがないな」って。彼らを観たら改めてそう感じましたね。
でも30代くらいのときはすごく台本を読み込んで、考えていた時期もあったんですよ。今は「早く(愛犬の)くるみの散歩をしないとなぁ」とか、それくらいに考えていた方が演じるキャラになれます。それが今の、もうすぐ誕生日で48歳になる僕です。
(2人に)「48歳になりたい? 想像できる? 48歳になった自分って?」
番家一路さん
なりたくない! 想像できないよ!
草彅剛さん
でもさ、すぐにきちゃうよ。48歳なんて。すぐにきちゃうから、やりたいことをやった方がいい。今の僕の感覚としては、2回まばたきしたら、もう48歳になってる。それくらいに思っていた方がいい。だから好きなことをやった方がいいし、野菜は食べた方がいい。元気ならお芝居もできるから、体は大事!
ー 番家さんは草彅さんと同じ役をやっているということで、何か意識することはありましたか?
番家一路さん
特に意識はしませんでした。
草彅剛さん
(番家さんへ)「ないよな?」。僕もない。僕のシーンを撮る前に彼のシーンを観ることもなかったです。
ー それでもバッチリあっているのはすごいですね。
番家一路さん
いや、全然バッチリじゃなくて、監督にはすごく怒られました。たとえば竹ちゃんと別れるシーンのセリフは、わかっているのに毎回言い間違えちゃって、何度も撮り直しをしました。
ー 現場では何度も間違えちゃうことはありますよね? 草彅さん。
草彅剛さん
でも、そこのシーンはとてもよかった。最高だった! 80年代を知らない2人なのに、ちゃんとその当時の子どもたちに、姿だけじゃなくて気持ちまでちゃんとそう見えるんだよね。だから2人からは、たくさんのことに気づかせてもらいました。
僕の子どもの頃の夏休みの出来事と一緒(草彅)
こんな大冒険をしてみたい! と思ってほしい(番家)
ー 今回の映画は「ひと夏の冒険」をテーマにしていますが、みなさんに「ひと夏の冒険」の経験はありますか?
原田琥之佑さん
今回の映画撮影以外なら、友だちとタイに旅行に行ってたくさん遊んだこと。
番家一路さん
友だちと夏祭りに行って、お金を全部使い切った! 甘いもの。しょっぱいもの、たくさん食べました。
草彅剛さん
僕はおばあちゃんちに帰ったことかな。四国の今治なんだけど、海で泳いだり、魚を食べたり、それが一番の夏休みでしたね。
カブトムシをとりに友だちと自転車で隣町に行ったり、そんなことも結構やっていて、劇中の2人とまったく同じような冒険をしていました。もしかしたら、この映画は僕の記憶をヒントにしたのかな。
ー たくさんの俳優さんと共演しています。印象に残っている俳優さん、共演が楽しかった俳優さんはいますか?
原田琥之佑さん
お母さん役の貫地谷しほりさんとの共演もありましたが撮影期間が短くて、長く一緒だったのは久田一家でした。お昼ごはんを食べながら絵を描いていたら、竹原ピストルさん、尾野真千子さんに「絵が好きなの?」と聞かれて、じゃあ、「さとうあやか」という人の絵を描いてと、名前からイメージした似顔絵を描くゲームをしていました。
番家一路さん
お父さん役の竹原ピストルさんとは、初めて会ったときに部屋の2階にあったピコピコゲームで遊んだり、よく話をしました。共演を通して竹原さんのことをすっごく好きになって、竹原さんのCDを買いました。
ー 番家さん、原田さんと同じくらい年齢の子どもたちが、この映画を観ると思います。映画を観て、どういう気持ちになってもらえたら嬉しいですか?
原田琥之佑さん
子どもたちには僕たちと同じような気持ちになってもらって、お母さんやお父さんたちは、80年代が舞台なので、そのときを思い出してくれたら嬉しいです。
番家一路さん
僕たちと同じような大冒険をしてみたいと思ってほしいです。今はコロナ禍で旅行に行きづらいけど、僕もこういう大冒険をしてみたいと思っています。
夢を叶えるには、すべてを “楽しむこと”
うまくいかなくても、それは次への足掛かり
ー アイドルとして大成功し、今は俳優、ナレーターとしても大活躍されています。2020年に公開された映画「ミッドナイトスワン」では日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞も受賞されました。どうすれば夢を叶えることができるか、大切にしていること、努力や工夫されていることなど、子どもたちにアドバイスをお願いします。
草彅剛さん
それはね、“楽しむこと” じゃないですか。すべてを。前向きに。失敗は必ずありますからね。ちょっと失敗したとか、これは大きな壁だなとか、そう思うことは誰にでもある。でも失敗しても、その後、必ずまたチャンスが来るから、人生はネバー ギブアップですね。深呼吸して、立ち止まるときは立ち止まったっていいんです。
あと、仲間、友だちを見つけてほしいですね。辛いときにひとりでいたらやっぱり凹んじゃうけど、仲間や友だちがいると寂しくなっても耐えられるから、いい友だちを見つけた方がいい。それはちゃんとしておいた方がいいかな。
ー 草彅さん演じる大人になった久田孝明は、小説家の夢を諦めかけそうになっているライターです。草彅さんも芸能界でのお仕事を諦めそうになったことはありますか?
ないですね。人生は長いと思っているので、そのときにうまくいかなくても、それは次への足掛かりなんじゃないかなと、ポジティブに考えるようにしています。
ー 最後に、子どもと一緒に親子でこの映画を観る方々にメッセージをお願いします。
草彅剛さん
演技をしたことのない2人だからこその、ピュアで純度の高い少年の感情を感じられると思います。大人の方にとっては懐かしい感情で、子どもたちにとっては冒険心を掻き立ててくれて、みなさんの毎日を楽しくしてくれる映画だと思います。
映画「サバカン SABAKAN」は、2022年8月19日(金)全国ロードショー!
番家一路(ばんかいちろ)
2010年6月15日生まれ、神奈川県出身。NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」(マサノリ役)に出演。特技は子守り。本作が映画デビュー。
原田琥之佑(はらだこうのすけ)
2010年2月2日生まれ、東京都出身。本作が映画デビュー。
草彅剛(くさなぎつよし)
1974年7月9日生まれ。1991年CDデビュー。主な出演作は『黄泉がえり』(2003年/塩田明彦監督)、『日本沈没』(2006年/樋口真嗣監督)、『あなたへ』(2012年/降旗康男監督)、またテレビドラマは「僕と彼女と彼女の生きる道」(2004年/CX)、「任侠ヘルパー」(2009年/CX)、大河ドラマ「青天を衝け」(2021年/NHK)など、多数作品に出演を果たす。2017年9月には「新しい地図」を立ち上げ、主演の『光へ、航る』(太田光監督)を収めたオムニバス映画『クソ野郎と美しき世界』(2018年)は2週間限定公開の中、28万人以上を動員し大ヒット。また、「アルトゥロ・ウイの興隆」(作:ベルトルト・ブレヒト/演出:白井晃、2019年、2021年11月~2022年1月16日まで再演)などの舞台作品にも出演。その他出演作に、西加奈子原作の『まく子』(2019年/鶴岡慧子監督)、『台風家族』(2019年/市井昌秀監督)、第44回日本アカデミー賞最優秀作品賞・最優秀主演男優賞に輝いた『ミッドナイトスワン』(2020年/内田英治監督)などがある。2022年6月、Disney+にてドラマ『拾われた男』が配信(全10話)。
2022年8月19日(金)全国ロードショー!
サバカン SABAKAN
1986年の長崎を舞台に、イルカを見るために冒険に出ることになった2人の少年の友情、それぞれの家族との愛情の日々を描く、《ひと夏》のみずみずしい青春映画。すべての大人たちの魂を揺さぶる「あの頃の僕たちに背中を押される」物語。
from キッズイベント
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