9歳までに「自分力」の土台を築く
重要なのは、親の声のかけ方!
書籍『9歳までの「自分力」教育』は、長年多くの子どもたちを見てきたやる気スイッチグループの “子どものやる気の引き出し方” のメソッドをまとめたもので、9歳までの教育や「自分力」を育むことの大切さ、そしてその具体的な方法について、実際に教室で実践している指導例のほか、大きな変化を迎えた子どもたちの実例を紹介しています。
書籍のタイトルになっている「自分力」とは、「自分で考え、自分で決めて、自分で行動する力」。親から言われたことを嫌々やるのではなく、自分がやろうと決めてやる力のこと。子どもが自らやる気になってくれたら、親にとってこんなに嬉しいことはありません。そしてそれは、9歳までの子どもへの接し方などで、どのご家庭でもできることなのです。
「9歳まで」の根拠については、「臨界期※」のほとんどが幼児期に集中していること。もうひとつは、理屈よりも身体的、感覚的に物事を身に付けられる時期だから。言葉や自転車を理屈ではなく経験的に覚え、大人になっても体に染み付いているように、「自分力」も早めにその土台を築いておくことが大切です。
そして、自分で考え、自分で決めて、自分で行動する「自分力」が身に付くことで、子どもたちは自分で興味あることを見つけ、さまざまなことに挑戦していけるようになります。
これからはVUCA(ブーカ)※という先の見えない不安定な時代になるからこそ、子どもが大人になったときに、自分の進むべき方向を自分で決めて動くことができる、自分のいるべき環境を自分で選ぶことができることが大切。「やる気スイッチグループでは、その力を子どものころに養うことが重要だと考えています」と、「ウィンビー」「キッズデュオ」など英語教育に25〜26年ほど携わっている谷川恵美子氏。
※ 臨界期:何かの能力を身につける際に、もっとも効果的に習得することができる脳の学習に適した時期。
※ VUCA(ブーカ):「Volatility(変動性)「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字をとった造語で、先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態。
「具体的に、親は9歳までにどんなことをするといいですか?」との竹内由恵氏からの質問に、「どんな言葉をかけられてきたかがとても大きい」と、谷川恵美子氏。「できたことだけをほめてしまうと、できることしかチャレンジしなくなってしまいます。“がんばった” という過程をほめてあげると、がんばることが自分にとって良いことだと感じ、いろいろなことにチャレンジできる子どもになっていきます」。
【関連ページ】「やる気の科学研究所」所長が、子どもの “やる気アップ” の方法を伝授!「やる気の科学研究所」庭野匠所長(株式会社やる気スイッチグループ)インタビュー!
本気になる経験が「自分力」を生み出す
やる気は “行動すること” から生まれる
竹内氏が「書籍に、9歳までに『自分力』の土台をつくるにあたり、目の前のことに本気になる経験が不可欠と書いてありますが、どういうことでしょう?」と質問すると、個別指導塾「スクールIE」事業責任者の大塚直樹氏は「竹内さんは目の前のことに本気になった経験は?」と質問。
小学4年生のときに海外で生活することになった竹内氏が、英語ができない自分にとって、がんばれば唯一結果の出せる単語テストに本気で取り組んだエピソードを披露すると、大塚氏は「それが、本気になったことで得た “自分力” ですよね。子どもたちがいろいろなことに本気になる瞬間がすごく大事で、それによって自分力が醸成されるんです」。
「そしてそういう瞬間を『スイッチが入る』と表現しています」と、1歳半から通える「チャイルドアイズ」、2歳から通える「忍者ナイン」を担当している鈴木愛子氏。「スイッチは人から押されるものではなく、自然に入るもの、自分で入れるものなので、やる気スイッチグループではその力を育むサポートをしています。実はやる気って最初からあるものではなく、やってみるから出てくるものなんです。だからまずは行動することが大切です」。
たとえば勉強してほしいのに子どもが机に向かわないときは、まずは机に向かうことを目標とする。机に向かうだけでOK。次に机の上を整理したり、長く机に向かっていられる環境を自分でつくらせる。この時点で勉強や宿題には手をつけていないかもしれないけど、まずはそれができたことをほめてあげる。そしてその次にこの問題を解いてみようとか、階段をひとつひとつ登っていくような取り組みが必要とのこと。
さらに目標を設定すること、今日は何分でどこまでやってみようとか、時間を区切るとか。そして「目標には達していなくても、できたところ、子どもの中の成長をほめて、自分の成長に気づかせてあげることも大切なんです」と大塚氏。そうすると、子どもたちは自らチャレンジするようになるそうです。
伸びる子の特徴とは?
10歳以上も、大人も「自分力」はアップする!
多くの子どもたちを見ている中で伸びる子の特徴をたずねると、「夢や目標を明確に持っていて、それに対して努力して達成しようとする目標達成意欲のあるお子さんは成長します」と、大塚氏。自分で目標を設定できることが大切で、そのため「スクールIE」では、子どもたちの夢や目標を一緒に考えたり、深掘りしたり、子どもたちが本気になれる目標を持てるようサポートも行っています。
一昔前のようにいい大学、いい会社に入れば一生安泰という社会ではなく、また子どもたちが大人になる頃には、子どもたちの65%は今はまだない職業に就くとも言われています。そんな先の見えない社会を生き抜く子どもたちに親ができることは、自分で考え、自分で決めて、自分で行動できる力、失敗を乗り越えて何度もチャレンジできる「自分力」を身につけさせてあげること。そしてそれは難しいことではなく、ちょっとした知識と工夫で、誰でも家庭でできそう。トークショーに参加した方々も、すぐに実践できる内容に一安心。質疑応答でも子育てに関するさまざまな質問が飛び交い、子どもの将来を想う充実した時間となりました。
子どもが変わる! 9歳までの「自分力」教育
やる気スイッチグループ(著)
小学館集英社プロダクション
子どもの可能性はどうすれば引き出せるのか? やる気になってくれるのか? 子どもの “やる気スイッチ” を一緒に見つけ、育ててくれる「やる気スイッチグループ」が培った “やる気” の引き出し方を伝授。
株式会社やる気スイッチグループは1973年創業。個別指導塾「スクールIE®」をはじめ、知育と受験対策教室「チャイルド・アイズ®」、英語学童保育「Kids Duo®(キッズデュオ)」、キッズスポーツ教室「忍者ナイン®」、バイリンガル幼児園「キッズデュオインターナショナル(KDI:Kids Duo International®)」など7ブランドを展開する総合教育サービス企業。国内外に2,000の教室を運営し、12万人以上の子どもが学んでいる(2022年11月現在)。子どもたち一人ひとりにあわせたアプローチで “やる気” を引き出し、その子の可能性を伸ばす「自分力」を育む環境をつくっている。
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