ガウディ直筆のスケッチや図面から
ガウディの建築思想と造形原理に迫る展覧会
「ガウディとサグラダ・ファミリア展」が2023年6月13日(火)から東京国立近代美術館(東京・千代田区)で開催、前日に行われた内覧会に行ってきました。
【イベント紹介】2023年6月13日(火)〜9月10日(日)まで東京国立近代美術館で開催! ガウディとサグラダ・ファミリア展
長きにわたり世界中の人々を魅了し続け、多くの人が一度は現地に行って見てみたいと思っている建築家アントニ・ガウディ(1852年〜1926年)設計の「サグラダ・ファミリア聖堂」。そのユニークな造形はもちろん、1882年に着工し、今なお建築中という、実に140年以上もの工期にも驚かされます。
世界遺産にも登録されている「サグラダ・ファミリア聖堂」ですが、コロナの影響によって建設中断となる時期があったものの、ガウディ没後100周年にあたる2026年の完成予定と、いよいよその時期が視野に収まってきました。
「ガウディとサグラダ・ファミリア展」は、長らく “未完の聖堂” と言われていた「サグラダ・ファミリア聖堂」に焦点をあて、図面のみならず膨大な数の模型をつくることで構想を練り上げていったガウディ独自の制作方法に注目し、100点を超える図面、模型、写真、資料などからガウディ建築の豊かな世界に迫る展覧会です。
歴史・自然・幾何学から
ガウディの建築様式の源泉を辿る
もっとも興味深かったのが、ガウディの独創的なデザインはどこから生まれてくるのか、について。そしてそれは「人間は創造しない。人間は発見し、その発見から出発する」というガウディの言葉に集約されていると感じました。
ガウディは学生時代から古今東西の各時代の建築様式を研究し貪欲に吸収するとともに、自然も丹念に観察・研究し、動植物の形態を装飾だけでなく、たとえば洞窟や鍾乳洞などの大地の浸食を建築造形そのものにも取り入れていました。
また創造の原理は “自然の法則” に従うことと考え、中でも「釣り合いの法則」はガウディが考える自然の法則の重要な理念でした。糸や鎖の両端を固定して垂らすと下向きの逆アーチになりますが、それを上下反転して塔の建築に応用しました。
さらに自然のひとつである “生命” は、ガウディの建築デザインを理解する上で重要な要素です。「生命ある造形的ヴィジョンを作品に与えなければならない」。ガウディの建築が人々を魅了するのは、自然界から学んだ厳格で正確な幾何学的法則がある一方で、人体にフィットするオーガニック・フォルムが共存し、人に寄り添った優しいデザインだからでもあるのです。
奇抜とも言えるユニークなデザインに目を奪われがちですが、ガウディの建築には過去の建築物の踏襲や自然のデザインからのインスピレーション、そして生命が込められていました。本展では「歴史」「自然」「幾何学」の3つのポイントから、ガウディ独自の建築様式の源泉と、その展開を辿っています。
「ガウディとサグラダ・ファミリア展」は、2023年9月10日(日)まで東京国立近代美術館で開催!
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