「手塚治虫 ブラック・ジャック展」体験レポート!

手塚治虫 ブラック・ジャック展 感想・体験レポートの写真

「手塚治虫 ブラック・ジャック展」のプレス内覧会ではオープニングセレモニーが行われ、手塚治虫作品ファンのなだぎ武さん(写真右から2番目)、マンガ好きアイドル・私立恵比寿中学の真山りかさん(写真左から2番目)、慶應義塾大学医学部教授で本展東京会場公式ファシリテーターの宮田裕章さん(写真左)が登場。さらに、セレモニーの後半にはアニメ版「ブラック・ジャック」の声優・大塚明夫さん(写真右)が本展開幕を祝って駆け付けました! みんなで「アッチョンブリケ」のポーズ!

『ブラック・ジャック』のすべてが集結!
ブラック・ジャック史上最大規模の展覧会!

手塚治虫先生の代表作のひとつ『ブラック・ジャック』の連載50周年を記念した「手塚治虫 ブラック・ジャック展」が、2023年10月6日(金)から東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)で開催! 小学生の頃から読み続けている『ブラック・ジャック』の展覧会、はやる気持ちを抑え、開催前日に行われた内覧会に行ってきました!

【イベント情報】手塚治虫 ブラック・ジャック展 2023年10月6日(金)〜11月6日(月)東京シティビューで開催!

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「手塚治虫 ブラック・ジャック展」会場のエントランスにはブラック・ジャックの名シーンと名言が展示

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「『ブラック・ジャック』は節目節目で何度も読み返している作品で、読むたびに新しい発見がある」という宮田裕章さん。そして「医師免許を持ちながら未来を見ていた手塚先生だからこそ描けた作品で、AIの話などは今だからこそ最先端を感じます。ブラック・ジャックが作品中でプログラミングをしてAIを治すエピソードがあるのですが、医者がプログラミングをする時代が到来している現在にも通じます」と、改めて作品のすごさについてコメント

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手塚治虫 ブラック・ジャック展のオリジナルグッズ「ブラック・ジャック ライダースジャケット」を着て登場した大塚明夫さん。ブラック・ジャックの名ゼリフ「医者何のためにあるんだ!」を披露し、その迫力になだぎ武さん、真山りかさん、宮田裕章さん大興奮! そして「アニメ『ブラック・ジャック』は、最初は主人公の声でのオファーではなかったんです」などの裏話も披露

200以上のエピソードの直筆原稿を展示
ピノコのエピソードもたくさん!

手塚治虫 ブラック・ジャック展」では500点以上の原稿に加え、連載当時の『週刊少年チャンピオン』や1970年代に発表された200以上のエピソードの直筆原稿が展示され『ブラック・ジャック』史上最大規模の展覧会となっています。

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『週刊少年チャンピオン』1973年11月12月号に掲載された『ブラック・ジャック』の新連載予告

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記念すべき第1話のブラック・ジャック登場シーンの原画。子どもの頃、初めて見て「かっこいい!」と感じたのを覚えています。少し幼い感じの顔立ち ©︎Tezuka Productions

メインとなる「B・J 曼荼羅」のコーナーでは、「命 vs 金」「人でないものの命」「スターシステムの中の名演技」「人体の神秘」「私が愛した医師」「ピノコがいっぱい」など、『ブラック・ジャック』の作品をさまざまなテーマにわけて展示。同じテーマの作品でも多種多様でひとつとして似たエピソードがないどころか、今でも、何度読んでも新しさを感じさせ、改めて手塚治虫先生の発想の豊さ、奥深さに驚かされます。




ファンならどのエピソードもすでに何度も読んでいると思いますが、それを手塚治虫先生の原画で読めるのはなんとも贅沢。先生直筆であろう文字、修正液の跡などなど、原画にしかない痕跡からは、真摯に原稿に向かっていた手塚先生の息吹さえ感じられます。

そして、もし手塚治虫先生がご存命だったら、どのような『ブラック・ジャック』を、どのような未来を描くのか、先生がマンガを通して伝えてきた問題提起の多くは今だ残ったまま、叶わぬ夢ですが、読みたいと思わずにいられませんでした。

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『ブラック・ジャック』の作品をさまざまなテーマにわけて展示している「B・J 曼荼羅」のコーナー

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ひとつのエピソードが真ん中の原画をはさんで縦1列に展示され、話の内容がわかるようになっている

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「ピノコがいっぱい」では、ピノコのエピソードをたくさん紹介! 内覧会当日に開催されたトークショーに参加した手塚治虫先生の長男でヴィジュアリストの手塚眞さんはピノコを「良心が実体化したもの」と紹介。「ブラック・ジャックもピノコに心を救われているんです」。そしてテレビアニメ化においては、ピノコは子どもにとって目線が近く、とても重要な存在だったと振り返りました ©︎Tezuka Productions

ブラック・ジャックは “命のマンガ”
子どもたちにはぜひ一度読んでほしい

『ブラック・ジャック』は医師免許を持っていた手塚治虫先生が真剣に命と向きあい、命とは何か、人間とは何かを問うた作品。小学生のときに『ブラック・ジャック』という作品に出会い、ブラック・ジャックでさえ救えない命があること、自然を前にしたときの人間の無力さ、そして人間の汚い部分や愚かさに触れ、子ども心にも切なさややりきれなさを感じました。しかし、子どもの頃に感じたからこそ、心の奥にずっと残っているのだと思います。“優しさ” や “粋なお金の使い方” も、ブラック・ジャックから学んだ気がします。お金の使い方は、なかなか真似できませんが。

『ブラック・ジャック』を読んだことがないというお子さんはアニメから入ってもいいかもしれません。手塚プロダクション公式チャンネル(YouTube)で観られます。
手塚プロダクション公式チャンネル
https://www.youtube.com/@tezukaproductions

そしてアニメがおもしろかったらマンガを読み、ぜひ「手塚治虫 ブラック・ジャック展」で原画も見てみてください。手塚治虫先生とブラック・ジャックの生き様からは、きっと得るものがあると思いますし、やはり何よりおもしろい!

会場最後の「カミカイ(神回)」コーナーでは、3本の作品を紹介しています。そのうちのひとつは手塚治虫先生のお気に入りの作品。どれかわかりますか?

手塚治虫 ブラック・ジャック展」は2023年11月6日(月)まで東京シティビューで開催!

なお「手塚治虫 ブラック・ジャック展」の隣では「北斗の拳40周年大原画展 ~愛をとりもどせ!! ~」を開催! ジャンル、絵のタッチなどはまったく異なりますが、どちらも長い間多くの方に愛され続けている作品。この機会に、ぜひどちらも楽しんでください!

【関連ページ】手塚治虫が漫画を通して、子どもたちへ伝え続けたメッセージ(株式会社手塚プロダクション代表取締役社長 松谷孝征さんインタビュー)

【関連映画】火の鳥 エデンの花 2023年11月3日(祝・金)全国ロードショー!

トークイベントに手塚眞氏が登場!
子どもたちにおすすめの手塚漫画は?

内覧会当日はゲストに手塚治虫先生の長男でヴィジュアリストの手塚眞さん、アーティスト・デザイナーの長谷川愛さんを迎え、ファシリテーターを宮田裕章さんが務めるトークイベントが開催。

手塚眞さんは「『ブラック・ジャック』で印象的なエピソードは?」という宮田裕章さんの質問に、240話以上あるのでひとつには絞れないとしながらも、本展で原画を展示している「浦島太郎」をあげてくれました。50年以上植物状態の男性を手術して意識が回復するも急速に肉体が衰え老衰で亡くなり、ブラック・ジャック、ドクター・キリコとも落ち込むというお話。手塚眞さんは「手塚漫画に通底しているのは “自然”。自然の上に人間なり命があるという考えで、自然には逆らえないんです」。

アーティスト・デザイナーの長谷川愛さんは、どちらも動物が出てくる「シャチの唄」と「ナダレ」。「特に『ナダレ』は人間によって改造されてしまった鹿のお話で、まさに “スペキュラティヴデザイン”だなと思っていて、こういうことができたらどうなるか、たくさん議論ができると感じています」。
※スペキュラティヴデザイン:未来について考えるきっかけを提供することを目的とした “問題を提起するデザイン”。

「『ブラック・ジャック』は連載開始から50年も経っているので、現実世界ですでに克服された病気はありますが、生命倫理、動物倫理、ジェンダーなど、手塚先生が突きつけた課題は今なお残っていますね」と宮田裕章さん。

子どもたちにおすすめの手塚作品については、「おすすめは『火の鳥』だけど、これからますますAIの世界になるので『鉄腕アトム』を読むのもいいですね。100話以上ありますし、子どもの視点に寄り添って描いています」と手塚眞さん。「『ブラック・ジャック』も50年を機にもう一度読んでほしい。その時代時代、そして読む人の年齢で異なるものが見えてきます。そして答えは、その都度、みなさんの中に生まれると思います」。

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トークイベントには一般の方も参加。2023年10月11日(水)にもトークイベントが開催。公式YouTubeでライブ配信が観られます

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「『ブラック・ジャック』は医療マンガというよりも “命のマンガ”」と手塚眞さん。テレビアニメ「ブラック・ジャック」では5年ほど監督を務めました。「ナダレ」は漫画とアニメで結末が異なるそうで、「手塚漫画には動物が亡くなる話がたくさんあるのですが、アニメは小さいお子さんが観るので、なるべく動物は殺さないようにつくりました」

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アーティスト、デザイナーの長谷川愛さん。生物学的課題や科学技術の進歩をモチーフに、現代社会に潜む諸問題を掘り出す作品を発表しています。「どうやったら今のAIがアトムになるのかを考えています。あの優しさはどうしたら学習できるのかなと」

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「ようやく世界が手塚治虫に追いついたというか、時代が手塚治虫を追いかけている」と宮田裕章さん

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長谷川愛さんが印象に残っていると紹介した「ナダレ」。カラーで見られる貴重な原画が展示されています ©︎Tezuka Productions

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会場にはブラック・ジャックに手術をしてもらえる!? フォトスポットも!

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『ブラック・ジャック』のすごさのひとつはやっぱり手術のシーンにおける体内の描写のリアルさ! ©︎Tezuka Productions

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『ブラック・ジャック』に明確な最終回はありませんが、連載終了の回でもあり、内容的にもそう感じられるのが、この「人生という名のSL」 ©︎Tezuka Productions

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個人的にとても心に残っているのは、やはりこれ!「ときには真珠のように」。ブラック・ジャックの命の恩人であり恩師でもある本間丈太郎先生とのエピソードです ©︎Tezuka Productions

※手塚治虫の塚は旧字体が正式表記です。



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