鈴木康広展 ただ今、発見しています。体験レポート!

鈴木康広展 ただ今、発見しています。レポートの写真

今話題のアーティスト 鈴木康広さんの「鈴木康広展 ただ今、発見しています。」2024年9月1日(日)まで二子玉川ライズ スタジオ & ホールで開催! 代表作のひとつ《空気の人》の前で挨拶をする鈴木康広さん

気づきやひらめきが得られる体験型展覧会
夏休みの工作や自由研究のヒントにも!

“発見” や “ひらめき” に満ちた今話題のアーティスト 鈴木康広さんの都内初個展「鈴木康広展 ただ今、発見しています。」が、2024年9月1日(日)まで、二子玉川ライズ スタジオ & ホールで開催中! 子どもたちの夏休みの工作や自由研究のヒントにも出会えそうと、7月19日(金)に行われた内覧会に行ってきました!




鈴木康広さんは身のまわりに存在する何気ないものごとに注目し、小さな気づきを独自の視点で捉えなおし作品を制作する今話題のアーティスト。国際コンクール「ニューヨーク・フェスティバル」金賞と「プリ・ジュネス2024」最優秀賞をW受賞した教育番組 NHK Eテレ「みたてるふぉーぜ」では総合指導も行っています。

【イベント紹介】鈴木康広展 ただ今、発見しています。2024年9月1日(日)まで二子玉川ライズ スタジオ & ホールで開催!

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「鈴木康広展 ただ今、発見しています。」では《空気の人》《まばたきの葉》などの代表作はもちろん、世界初公開の新作《小さな発見機》など約50点を展示

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白い筒の先から裏表それぞれに開いた目と閉じた目が描かれた葉のかたちの白い紙が吹き出し、クルクルと舞い落ちることで、まるで “まばたき” しているかのように見える《まばたきの葉》。白い筒の差し込み口から葉を入れると内部で撒き上げられ落ちてくるもので、来館者が葉を入れることもできるし、自分で目を描くこともできる
鈴木康広 《まばたきの葉》 2003年

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「コンセプトでしか成立しない作品だと思っていたものが、実は具現化できてしまったというものがおもしろい。その具現化された作品のまわりには、普段感じないような無数の小さな気づきがあって、そういうことに気がつけること自体が、僕にとってはアートワークだと感じています」と鈴木康広さん

まわりとの違和感やうまくできないことにも
見方を変えて価値を与えることができる

会場に入ってすぐに目につくのは、透明の大きな風船のようなもの。あまりの大きさに形を認識するまでに少し時間がかかりましたが、よく見ると人の形をしていて、これは鈴木康広さんの代表作のひとつ《空気の人》。

おなかから空気を吸い込み続けている《空気の人》の体にみなぎる空気は、そこに居合わせた人々が呼吸する空気でもあり、常に循環し続けています。さっきまで自分の体を巡った空気がやがて《空気の人》の体の中に入り、たくさんの人が集まることでひとつの作品を形成していくプロセスに、その場のみんなが立ち会い、感覚を共有することができる作品です。

鈴木康広さんはギャラリートークで「今回は半透明の足跡のシールに、普段は語っていないちょっとしたエピソードを書いて、みなさんの足元に貼りました。たとえばこれには(と足跡のシールを指差しながら)『空気を吹き込む人の形は、実は球体になろうとしています』と書いてあります。《空気の人》には人という限定した形を与えていますが、実は風船は丸くなろうとしています。足跡のシールは、そういう見えないものが見えるきっかけになると思います」と、展覧会の楽しみ方を教えてくれました。

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《空気の人》について説明をする鈴木康広さん。後ろに見えるのは世界初公開の新作《小さな発見機》で発券される切符の映像
鈴木康広 《空気の人》 2007年

この足跡のシールは会場の床にたくさん貼られていて、作品を理解するきっかけになるものもあれば、この言葉に安心する親御さん、お子さんも多いのかなと、ぜひ読んでいただきたいと感じました。

ギャラリートークで鈴木康広さんは「僕は子どもの頃から物わかりが悪くて、いつまでもわからないまま過ごし、取り残され、ずっとそこで立ち止まって見ていて、後から追いかけることばかりでした。大人になってから気がつくことも多く、『今になって知ったの?』みたいによくバカにされていました。でも、子どもの頃に感じた違和感や、ずっと気になり続けていることがたくさん残っていて、それを作品という形にすることで価値を与え、みなさんに提示できるということが僕にとっては生きていくために欠かせないものになりました。そして、『実は私も気になっていたんです』と言われると、自分も人間なんだ、僕もそうだよという、わざわざ言葉で確認し合わないようなことをお互いに確認できることが小さな発見で、小さな喜びです」とおっしゃっていました。

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床に貼られている半透明の足跡のシール。足跡のシールにはハッとするようなことが書かれていたり、鈴木康広さんの頭の中をちょっとだけ覗けたような気がしてとても楽しい

会場の入口には、来館者に印象に残った作品や、作品を見たことで久々に思い出したことなどを足跡型の紙に書いて入れてもらう「発見の足跡」という透明のアクリルボックスあります。鈴木康広さんの作品を見たり触れたり体験することで何かを思い出したり、改めて自分自身の気持ちに気がつくことがあるかもしれません。そして、違和感やうまくできないことにも価値を与える方法があるのかもしれない、と感じさせてくれます。

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会場入口に設置されている「発見の足跡」。もしかしたら、ここに集まった来館者の方の感想や気づきをきっかけに、新しい作品が生まれるかもしれません

同展では《空気の人》《まばたきの葉》などの代表作はもちろん、世界初公開の新作《小さな発見機》など約50点を展示。《小さな発見機》は「聞き間違え」が発端でできた作品で、私たちのまわりには、少し見方変えるだけで新しい気づきや発見がたくさんあることに気づかせてくれます。

触れたり体験できる作品もあるので、子どもと一緒に体験し話しながら楽しめますし、子どもたちからはいろいろな気づきや発想が飛び出してくるかもしれません。夏休みの工作や、自由研究のヒントにもなりそうです!

「鈴木康広展 ただ今、発見しています。」は、2024年9月1日(日)まで二子玉川ライズ スタジオ & ホールで開催!

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世界初公開の新作《小さな発見機》。有料の体験型アートで、「お金を払うというのも体験の一部かなと思っています」と鈴木康広さん。僕が描いた “発見” のスケッチと、発券した時刻が印刷された切符で、“小さな発見” という、普段は可視化されないものを切符として発券する装置です。世界に1台しかないので、その切符を持っているのは世界でその人だけ。「僕のスケッチが発見につながるかはわからないけど、何かのきっかけになればと思っています」

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《小さな発見機》の隣に置かれていたのは、こちらも有料の《まばたき証明写真》。目を閉じた瞬間の自分の存在を証明してくれる証明書で、目をつぶった瞬間の写真を撮り、その場でカードにしてくれます
鈴木康広 《まばたき証明写真》 2011年

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今回の展覧会のメインビジュアルにも使用されている《足元の展望台》に立ち説明する鈴木康広さん。「(この作品は)すごく場所をとるんです。でも大事にしておかなきゃってしまっちゃうと何の気づきもないので、作品って日用品にしないといけないんです。今回気がついたのは、地球上で、今この限られた面積を僕が占有しているんです。ここに他の誰かが立ちたいと思っても、誰も立てない。ひどい話ですよね(笑)」
鈴木康広 《足元の展望台》 2014年 photo:Seiji Toyonaga

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「座ってもおもしろい。お尻から足が生えたみたいですよね」。ギャラリートークでも鈴木康広さんの小さな気づきをたくさん披露してくれました

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《足元の展望台》について鈴木康広さんはこんなコメントを足跡のシールに残しています

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この透明のアタッシュケースは《空気の人》のカバン。中には鈴木康広さんの作品がたくさん展示されています

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《バケツの切り株》切り株形の容器に溜まった水面にしずくが落ちると、波紋が年輪に見える。人間の時間感覚では動きとしてとらえられない木の生長も、時間のスケールを変えられたら、波紋のように瞬く間に広がっていくように見えるのではないか
鈴木康広 《バケツの切り株》 2007年 photo:Timothée Lambrecq



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